ホーム > フェリス女学院の歩み > フェリス歴史の扉 > Ferris Seminary, YOKOHAMA, JAPAN

Ferris Seminary, YOKOHAMA, JAPAN

 2020年に創立150周年を迎えるフェリスは、その歴史の証となる資料収集に力を入れている。震災や戦災で多くの資料を焼失したためフェリスには明治・大正期の資料が少ないと資料室では諦めていたが、宣教師や当時在留していた外国人たちが本国に持ち帰った資料やRCAの様々な冊子の中にフェリスに関係するものがあるのではないかと、アメリカにある資料を再度調査することになった。
 その一環として、国際交流学部大西比呂志教授の2018年7月28日から約1週間の米国資料調査に資料室員も同行し、資料収集を共に行った。図1はラトガース大学グリフィス・コレクションで確認した資料の中の1点である。
 W.E.グリフィスは明治初期のお雇い外国人で福井と東京で教鞭をとっていた。彼は滞在中に様々なものを収集しており、その写真や資料などがラトガース大学アレキサンダー図書館地下1階に大切に保管されている。そのグリフィス・コレクションの「Japan Photobox 57」に収蔵されているのが「1875年にキダーが山手178番に建てた校舎・寄宿舎」の写真である。
 150年史編纂委員の中島耕二先生にこの写真を見せていただいたとき、私たちは目を疑った。それは『A MANUAL OF THE MISSIONS OF The Reformed (Dutch) Church in America』(1877年)の「THE DAUGHTERS OF THE ISLES」の挿絵として掲載されている絵(図2)の原写真であった。キダーが建てた校舎の様子を伝える唯一の絵として様々なところで利用してきた絵の元写真である。絵でしか見ることのなかった初めての校舎が現実の写真として存在している。生徒たちが整列し、何をしようとしているのだろうか。写っている人々が今にも動き出し、ざわめきが聞こえてきそうな生き生きとした写真である。裏書(図3)によると、キダーとミラー氏が左側に、右側にはJ.H.バラ宣教師、アメルマン宣教師、窓にその婦人たちがはっきりと写っている。窓辺には外国人の女の子(アメルマンの娘か?)が座り、菊の花の鉢も鮮明に写っていることから秋であることが想像できる。この写真がいつ撮られたのかは定かではないが、アメルマンが来日したのが1876年7月、前出の本の刊行が1877年であるので、少なくとも前年にはアメリカに送られたと考えると、1876年の秋に撮影されたのではないかと推察できる。古写真を眺め、あれこれと思いを巡らせることは大変楽しく、謎解きは尽きることはない。今回グリフィス・コレクションを訪れて高解像度のデジタルデータをいただいたので、150周年に向けて多くの人たちにご覧いただける機会が増えることは大変喜ばしい。

「THE DAUGHTERS OF THE ISLES」の挿絵として掲載されている絵(図2)

「THE DAUGHTERS OF THE ISLES」の挿絵として掲載されている絵(図2)

写真の裏書(図3)

写真の裏書(図3)

ページトップへ戻る