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校名・校章・校歌

校名の由来

「フェリス」とは一度も来日したことがなかったが、学院に対して物心両面にわたり援助を惜しまなかったアメリカ改革派教会の外国伝道局主事父子の姓です。
学院の校名は、創立時には「キダーさんの学校」「ミロルさんの学校(※)」などと呼ばれていましたが、キダー(Mary Eddy Kidder, 1834-1910)は、山手178番に校舎が新築された時、援助を惜しまなかった父子に敬意を表して「フェリス・セミナリーと呼びたい」と望み、その後「フェリス・セミナリー」、「フェリス和英女学校」と呼ばれるようになりました。

※結婚後のキダーの姓である「ミラー」は、当時「ミロル」とも表記された。

メアリー.E.キダー

M.E.キダー(Mary Eddy Kidder, 1834-1910)

校章

校章


盾に創設時の校名Ferris SeminaryのFとSの二文字をデザインしたのがフェリス女学院の校章です。盾は私たちを外部の嵐から守る信仰の力を表し(「エフェソの信徒への手紙」6章16節)、白、黄、赤の三色は信仰、希望、愛(「コリントの信徒への手紙一」13章13節)を表しています。

校歌

1945年、長かった戦争が終わりました。学院も戦後の復興期を迎えます。《フェリス女学院校歌》(1950)はそうした時期に誕生しました。
戦後の6・3・3制導入にともない、フェリスも中等部5年+高等部2年の課程を、中学校3年+高等学校3年+専門学校3年に再編成しました。毎朝の礼拝は、3つの学校が合同で守るようになります。全校生による賛美に加え、全校合唱も行われました。そうしたなか、全校で一緒に歌える、新時代の校歌がほしい、という願いがおこってきました。
この願いが、1950年に実現します。おりしも学院の創立80周年。校名も横浜山手女学院からフェリス女学院に変更。戦後発足した専門学校も短期大学に再編成することになりました。学院にとって希望の出発の年に新校歌制定の夢が実現しました。

英 康子による作詞
1950年春、創立80周年の記念事業のひとつとして、新校歌制定の準備開始が理事会で認められました。作曲は、専門学校音楽科の教員だった新進気鋭の作曲家、團伊玖磨が担当することになりました。
歌詞は学内関係者から公募することになりました。公募にあたり、次の条件が歌詞に求められました。1)キリスト教の信仰に基づく女子教育の学校であることを明示し、 2)学院の長い歴史を踏まえつつ、 3)世界とのつながりに言及し、 4)歌詞全体は3節以内にまとめることです。
多数の応募作があり、選考は都留学院長を中心とする委員会が行いました。選ばれたのは、中学校・高等学校の国語の教員で当時22歳の英康子(現姓 依田康子)の詞でした。
聖書のみことばも要所要所に歌いこまれています。「惠の花」は山手の丘のクローバーの花であると同時に聖書の「野の花」(マタイ6:28)に通じます。「生命の清水」(ヨハネ4:14)、「自由」と「まこと」(ヨハネ8:32)もみことばによります。

英 康子(はなぶさ やすこ)

英 康子(はなぶさ やすこ)
(1927-)
1944年横浜山手女学院(現・フェリス女学院)中等部4年修了後、直ちに東京女子大学国語科入学。1947年より1952年3月まで、学院で国語を担当。元日本基督教団本郷台伝道所主任牧師。

團 伊玖磨による作曲
作曲は1950年の夏から秋に行われました。夏、團伊玖磨は完成間近の草稿を持ち、御殿場二ノ岡の山荘に三宅洋一郎を訪ねます。
1941年からフェリスで音楽を担当し、短期大学音楽科の設立の中心人物となった三宅は当時の様子を次のように回想します。「フェリスの二ノ岡山荘のベビー・オルガンで、この校歌を初めて音にした時の喜びを今も忘れることは出来ない。曲は明るい前奏に続いて、抒情的な旋律で静かに歌いはじめ次第に曲想を盛り上げて行き、後半はテンポを幾分早めマーチ風なリズムで前進的な意志を強調し、堂々と最後のクライマックスを作り上げることに成功していた。短い曲のなかで、これだけ変化に富んだ音楽的表現力を持つ点でも、在り来たりの校歌の枠を超えた一つの芸術作品といっても言い過ぎではないだろう」(フェリス女学院資料室紀要『あゆみ』第7号)。
曲は最終的に女声三部合唱の形に整えられました。初演は1950年11月2日。創立80周年記念式典で、全校合唱で歌われました。初演はオルガンとピアノによる伴奏で行われています。

英 康子(はなぶさ やすこ)

團 伊玖磨(だん いくま)
(1924-2001)
戦後日本の代表的作曲家。東京音楽学校卒。≪交響曲イ調≫、オペラ≪夕鶴≫の他、≪ぞうさん≫等の童謡作品でも知られる。 1947年~1963年、学院の音楽科で作曲理論を担当。

フェリス女学院校歌

作詞:英 康子  作曲:團伊玖磨

1.
清らかに 恵の花の咲くところ
緑濃き フェリスの丘に
富士の嶺は 豊かに晴れて
乙女等の 希望(のぞみ)は湧けり
覚めむ いざ 学びの友よ
つつましく 篤く祈りて
人の世に
みことばの 光傅へむ

2.
新しき 生命の清水汲むところ
黎明の 鐘はひびきて
打ち拓く 歴史の扉
学び舎の 歩みは高し
立たむ いざ 自由のともよ
おのがじし 智慧をみがきて
ひとすぢに
まことなる 道をきはめむ

3.
とこしへの 平和の朝の澄むところ
まなかひの 港都(みなと)の海に
流れ合ふ 八重の潮路も
境なき 一つの理想(おもひ)
行かむ いざ みくにの友よ
もろともに 深く睦みて
若き日を
御栄光(みさかえ)の わざに捧げむ

「フェリス女学院校歌CD」収録曲解説

1.女声三部合唱とパイプオルガン、ピアノ(原曲)

今も中高で演奏されている編成であるが、作曲者による校歌完成当時の編成であることがこのたび確認された。中高生と短期大学同窓生にとっても想い出の詰まった編成でもある。ピアノパートをオルガンとピアノに振り分けてアレンジしたものであるが、持続のあるオルガンの響きが曲に深みを増している。

2.女声三部合唱とピアノ(原曲)

大学では現在も入学式、学位授与式で演奏されるオリジナルの編成であり、正統かつ馴染み深い演奏スタイルである。

3.弦楽アンサンブル

3.11東日本大震災の影響で中止となった2011年度フェリス女学院大学学位授与式は半年遅れでささやかに催されたが、その際に演奏されたスタイルで記憶に新しい。ピアノとは異なり、音が減衰せず持続、増幅可能な弦楽器の特質は序奏において輝きを増し、印象に残る。

4.ハンドベルとハンドチャイム

校歌(歌詞3番まで)の流れにあわせて、3回繰り返すので次のような構成とした。
1番=イ長調 ハンドベルのみの演奏。ほぼピアノ伴奏譜に同じ。
2番=ニ長調に転調 ハンドチャイムを主体とした演奏。ハンドベルは伴奏役に徹する。
3番=イ長調戻る ハンドベルとハンドチャイムは相互に旋律と伴奏として絡みあって進行。
ハンドチャイムではオルガンの響きの効果を狙った。
両楽器は打楽器ですので、のびやかな旋律の美しさ、豊かさを表現するのに対応できない部分があるが、楽器の特性を生かせた編曲になっている。

5.ピアノ

校歌のピアノパートを演奏したものである。高音パートにはメロディーラインが流れているので独立したピアノ曲としても遜色はない。ピアノ演奏をバックに朗々と歌ってみるのも良い。

6.フルートアンサンブルとハープ

美しい高音域を特徴とするフルートを生かすため、原調であるイ長調をヘ長調に移している。優雅なハープの音色は効果的なグリッサンドを伴い、フルートアンサンブルを彩る。原調のメロディーの高音域が苦手で、声が出にくい人にとっては歌いやすい調となっている。

7.女声三部合唱と弦楽アンサンブル

弦楽アンサンブルをバックに格調高く歌われる。本校の校歌が芸術作品の域にあることが十分に理解できる編成・演奏となっている。

8.パイプオルガンとピアノ

メロディーラインはオルガンからピアノ、両者の協唱、そしてまたオルガンへと自在に移っていて妙である。校歌完成時にはフェリスにはパイプオルガンは存在していなかったので、どのような構造のオルガンで演奏され、またその響きがどうであったか等、興味は尽きない。

9.フェリス和英女学校 校歌

寺田 醇造 作詞 Old Netherlands Melody

1923年の関東大震災後、校舎再建計画とともに念願の校歌制作にとりくみ、1929年6月、再建された校舎の献堂式で、はじめて校歌が披露された。フェリスの教育に長く携わってきた寺田醇造による詞は、学院の歴史とその精神が読み込まれた内容になっている。曲譜は、当時愛用されていた英語賛美歌集The Church School Hymnal より第17番"We Praise Thee, O God"(1954年版『讃美歌』では第79番)のメロディーを選定している。

校歌CD制作プロジェクト

音楽の架け橋、中高と大学の心をひとつに

校歌CD制作プロジェクト」は、フェリス女学院グランドデザイン構想の重要課題として大塩学院長が掲げる「All Ferris(学校法人フェリス女学院としての一体感)」実現に向けた第一号企画である。校歌制定からはや六十余年、フェリス女学院として中高と大学にまたがって保有する音楽資源を最大限に活用し、芸術性豊かな校歌音源を正式にCDとしてまとめあげることになる。
 プロジェクトの担当に選ばれたのは、中高から音楽科教諭・副校長の大塚安宏氏、大学から音楽芸術学科教授の立神粧子氏である。立神氏は、フェリス女学院大学の現職専任教員でただひとりフェリス中高出身であり、本プロジェクトにうってつけの人物として白羽の矢が立った。奇遇にも大塚氏は、立神氏の高校三年次の担任教諭であった。長い時を経て、かつての恩師と教え子が、フェリス女学院校歌のCDプロジェクトで再び手を携え合う。
 フェリスの校歌は、歌うごと、聴くごとに新しい息吹、そして希望に満ちた自由な精神を感じさせてくれる。そんな意味でも、校歌は我がフェリスの象徴。特に、中学入学式で上級生が歌う校歌を初めて聴く新入生や保護者には、その清らかで格調の高い調べに感極まる方も多い」と口を揃えて話す二人。
 大塚氏は「中高と大学との間には教育的垣根が存在するとはいえ、中高の合唱コンクールでは大学音楽学部教員を審査員として迎えるなど、音楽教育における相互交流は深まっている。そうした意味でも、音楽という架け橋はAll Ferrisの先駆的役割を果たしうると思う。将来は、年に一度でも中高生と大学生が一緒に校歌を歌う機会を設けたい」、また、立神氏は「大学教育の場でも、校歌に息づくフェリスの清廉で自由闊達な精神を学生に伝えたいと常々思っている。いつか中高と大学に加え、フェリス音楽教室で学ぶ子どもたちも含めた本当のAll Ferrisで歌ってみたい」と語り、その口調からは二人の熱い理想がうかがわれた。
 校歌CDの完成は二〇一二年度創立記念日を予定している。また、オンライン配信や携帯電話着信メロディーの対応も検討中。

(2011年6月)

(2011年当時)

大塚安宏
中学校・高等学校 副校長
国立音楽大学作曲学科卒業。大学時代に管弦楽部コーチとしてフェリス女学院と出合う。1972年、中高音楽科教員として勤務。78年よりハンドベル指導を始める。世界大会、全国講習会の指揮・講師を務める。大学オープンカレッジ「ハンドベル講座」も担当。

立神粧子
大学 音楽芸術学科教授
東京藝術大学、シカゴ大大学院、南カリフォルニア大大学院を修了(音楽芸術博士)。共演ピアノを専門に欧米の主要オーケストラや歌劇場のソリストと共演。認知機能研究として『前頭葉機能不全その先の戦略』(医学書院)を出版。

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校歌CD紹介

 フェリスの校歌は、歌うごと、聴くごとに新しい息吹、そして希望に満ちた自由な精神を感じさせてくれる"フェリスの象徴"です。フェリス女学院では、2012年1月~3月にかけて、大学音楽学部学生および中高生徒が演奏した「フェリス女学院校歌CD」を2012年創立記念日に完成させました。
 収録内容は、(1)1950年制定の團伊玖磨作曲・英康子作詞に基づく女声三部合唱、(2)清らかな原曲を岡島雅興教授(大学音楽芸術学科)と大塚安宏氏(元中高音楽科教諭)が美しく多彩に編曲した器楽曲各種、(3)同窓会等の要望に応えた伴奏版、(4)1929年作「最初の校歌」、全4部9曲。学校法人フェリス女学院の組織の一体感(All Ferris)を醸成する、バラエティ豊かで、校歌の枠を超えた芸術作品集に仕上がりました。

収録曲

1.女声三部合唱とパイプオルガン、ピアノ(原曲)
2.女声三部合唱とピアノ(原曲)
3.弦楽アンサンブル
4.ハンドベルとハンドチャイム
5.ピアノ
6.フルートアンサンブルとハープ
7.女声三部合唱と弦楽アンサンブル
8.パイプオルガンとピアノ
9.フェリス和英女学校 校歌

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 校歌に息づくフェリスの清廉で自由闊達な精神を、フェリス女学院に関わる皆様に広くお聴きいただけるよう、同窓会で取り扱うことになりました。
詳しくは、各同窓会事務局にお問い合わせください。

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りてら(文学部・国際交流学部同窓会):045-228-7556(FAX同)
Fグループ(音楽学部同窓会):045-350-8930
りべるて(家政科同窓会):045-662-0750(FAX同)

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