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フェリスの教育

フェリスの教育 主体的な学び

 フェリス女学院は1870年に日本最初の近代的女子教育機関として創立されて以来、常に時代の先駆けとなる教育を行ってきました。
近年「主体的な学び(アクティブラーニング)」が注目されていますが、フェリスでは学生・生徒が自ら課題を発見し、解決する学びを伝統としています。
今回はそのようなフェリスの教育の取組を紹介します。

【大学編】
新しい時代を切り拓く女性を育成
全学教養教育機構(CLA)スタート

 フェリス女学院大学では、今年度から「全学教養教育機構(CLA)」がスタートしました。CLAとは、Centerfor the Liberal Arts の略。フェリスの伝統であるリベラルアーツ教育を継承し、21世紀型の教養教育として、新しい時代を切り拓く女性を育成するカリキュラムです。
 CLAでは、2020年の創立150周年に向けてこれまでの伝統を受け継ぎ、さらに、新しい時代に主体的な役割を果たすために必要な知識と語学運用能力、課題発見・解決の方法を4年間を通じて学びます。所属学部の専門的な学びと並行することで、しなやかに他者と共生しつつ、21世紀の新たなステージを切り拓いていくためのカリキュラムがデザインされています。
 CLAは「キリスト教科目」「語学科目」「知のフロンティア科目」「実践教養科目」「フェリス教養講義科目 :For Others 」「健康・スポーツ科目」「留学生科目」の7つの科目群と「FERRIS+(プラス)実践教養探求課程」という1つの課程から構成されています。
 キリスト教科目では、キリスト教の基礎知識を学ぶとともに、価値観や世界観を理解し、人文科学や社会科学・芸術との関係を探り、さらにフェリスとキリスト教の関わりについても理解を深めます。語学科目では、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語、朝鮮語など10言語を多様なコースから選択して学びます。
 知のフロンティア科目では、思想、社会、文化・芸術、科学の4領域を、実践教養科目では、読む・書く・聞く力、伝える力、説得する力、情報を分析する力を養い、教養を応用・活用できる能力を修得します。さらに、フェリス教養講義科目では、横浜と音楽との関係など、在学生が身近に感じることのできるテーマを糸口として、より大きな社会問題や世界について学びます。
 また、「FERRIS+(プラス)」という課程を新たに設置しました。中心となるのは、2年次前期に履修できるプロジェクト演習です。フェリス女学院の150年史の編纂作業に参加し、出版や編集実務を学んだり、横浜市の水源となっている山梨県道志村の社会的・経済的な問題に取り組んだり、また横浜と音楽、百人一首の事業化(商品の開発や書籍の出版)など、実社会で求められる教養を具体的な課題を通して学びます。課程修了者には、修了証が発行されるため、就職活動に活かすこともできます。
 これらのカリキュラムはすべて、(1)自分たちが生きる世界を知ること(2)ボランティアと地球を考えること(3)女性のキャリア(4)新しい文化創造の可能性を求めること(5)音楽の力(6)女子教育の歴史とその意味という、フェリスらしい6つのテーマが重視されています。
 また、CLAの拠点として、緑園キャンパスの2号館がCLA棟として改修され、教室フロアが整備されました。各教室の廊下側の壁はガラスのパーテーションを使用し、明るく活動的な印象の校舎になっています。
 加速度的に社会が変化し、グローバル化がますます進む中で必要なのは、自ら課題を発見して解決できる力であり、多様な文化や価値観を持つ人たちと共生できるコミュニケーション力です。これまでもフェリスの語学科目や基礎教養科目などの共通教育は、他大学に比べて充実したものでした。それをさらにバージョンアップさせ、モットーである「For Others 」を体現できるようなフェリスらしいリーダーシップを身につけることができるのが今回のCLAです。
21世紀の新しいステージを切り拓いていくことのできる女性がこれから多く育っていくことは間違いありません。

【中学・高校編】
自ら考え学び、社会への興味を深めていく社会特講の授業

 フェリスの伝統であるリベラルアーツ教育は、大学だけにとどまらず、中高でも展開されています。その一つの例が、S2の必修選択科目である社会特講です。
社会特講では、「戦争と平和」をテーマにし、世界史や日本史、政治・経済を総合的に学びながら発表や討論を行い、最終的に1年間の成果を論文としてまとめます。この授業は大学のゼミナール形式を採っており、論理的な思考力や話す力、読解力、さらに論文作成能力を高めて、社会科学の基本的な方法論を身につけることを目指しています。
 フェリス女学院中学校・高等学校の教育は「キリスト教信仰」「学問の尊重」「まことの自由の追求」の3本の柱に支えられています。社会特講もこの教育方針に基づき、少しずつ形は変わってきていますが約40年前から、すなわちグローバル教育やアクティブラーニングが話題にのぼるよりもずっと以前から、生徒の主体性や考える力を養う教育として行われてきました。
 近年の授業では、まず前期にテキストを用いて、現代の国際社会の問題などを学び、その時々のテーマを生徒たちでディスカッションします。それと同時に、各自の研究テーマを自分で決め、論文の書き方を学び、研究テーマに関する文献を探し出し、夏休み中にその厖大な文献を読み、夏休み明けにレポートを提出します。後期には、レポートに基づき、発表と討論を行い、自身の研究テーマについて論点を深め、最終的に1年間の研究成果として論文をまとめます。
 論文のテーマは、近年のものから抜粋すると「21世紀のテロとテロ対策の可能性」「沖縄の基地問題の解決に向けて」「集団的自衛権〜いま何が問題になっているのか〜」など、時代を反映したものもあれば「戦争報道はどうあるべきか」「パレスチナ問題~解決するための鍵」「日中韓の歴史認識の解決には何が必要か」などの長く考え続けなくてはならないような歴史的な問題もあります。いずれも生徒たち自身が関心のあるテーマを自主的に選んでいます。
 テーマを決める上で生徒たちに必ず守ってもらうことが、テーマに疑問符をつけるようにすること。それは、生徒たちが自ら学び、問い(疑問)に対する自分なりの答えを見つけるためです。その意見をもとに他の生徒たちと討論して、さらにその内容を深めていくのです。
 社会特講を選択する生徒には「前から興味のあったことをさらに深めてみたい」などと、意欲的な生徒が多いのですが、こうした授業を行う中で「ニュースの見方が変わった」「興味関心が広がった」「今まで自分の意見を言うのが苦手だったが、自分なりに言えるようになった」など、さらに積極的な姿勢が身についていきます。
 普段のテストや受験勉強に直結するものではありませんが、まとめた論文が大学入試に役立ったり、研究テーマから進みたい進路が見えてきたりと、将来につながることも少なくないようです。社会特講を通じて生徒たちに育まれた社会への深い問題意識と探究意欲が、将来どのように生かされていくか期待がふくらみます。

国際交流ラウンジ

国際交流ラウンジ

国際センター

国際センター

グループスペース

グループスペース

ウェルカムセンター(学院史料展示)

ウェルカムセンター(学院史料展示)

高い自主性が求められる

高い自主性が求められる

ドキュメンタリー映画を鑑賞

ドキュメンタリー映画を鑑賞

活発な意見交換

活発な意見交換

製本された『論集』

製本された『論集』

TPP についてのディベート

TPP についてのディベート

完成した生徒の論文

完成した生徒の論文

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