ホーム > フェリス女学院の今 > 学びの風景 > J3フィールドワークレポート

J3フィールドワークレポート

J3フィールドワークレポート

 フェリス女学院ではJ3※1(中学3年生)の生徒を対象にした信州での宿泊行事を、長年にわたって5月中旬に行ってきました。
2000年より、環境教育の専門家によるプログラム「ウォークラリー」を上高地での活動に取り入れ、その後「総合的な学習の時間」としてこの宿泊行事は位置づけられることになります。
2002年に「J3フィールドワーク」と命名されたこのプログラムは、工夫を重ねながら2泊3日の宿泊行事として現在に至っています。この行事の具体的な内容を、2016年度の活動を例にとってご紹介します。

〈1日目〉ミッション「河童の涙を探せ!」
 横浜から上高地に向かう途中、フェリス和英女学校時代に在籍した相馬黒光(1875 -1955)とゆかりのある彫刻家、荻原守衛(碌山)の作品を 展示する碌山美術館(安曇野市)と、北アルプスからの伏流水が湧き出る大王わさび農場(同市)を生徒たちは訪れます。大王わさび農場では柳絮の季節ということで、柳の白い綿毛が雪のように舞っていました。
 宿泊先のホテルに到着して夕食を摂った後に、各班を代表する生徒が1名ずつ会議室に集まります。そこで、ナチュラリスト※2の先生から「第一の手紙」が朗読され、翌日に行われるウォークラリーの使命、「河童の涙を探せ!」が生徒たちに告げられます。各班の代表者は各部屋で待機している仲間たちと協議し、配布されたフィールドワーク用ワークシートを用いて翌日の行動をどうするか決めます。その後、希望する生徒たちはホテルの付近で、降り注いできそうな星々を観察します。
※1 フェリス女学院では、中学校の生徒をJ、高等学校の生徒をSと呼称・記載しています。
※2 自然解説員。野外環境教育の指導講師。

〈2日目〉ミッションを果たし「河童の涙」を探し出す
 ウォークラリーに出発する直前の生徒たちの前で、引率教員から「第二の手紙」が朗読されます。生徒たちはウォークラリーに取り組む心構えを再確認し、フィールドワーク用ワークシートに記された「7つの使命」を、一つずつ果たしていくことになります。
 「7つの使命」とは、例えばウェストンのレリーフや梓川のほとりなどを訪れ、各地点で待機している3人のナチュラリストのガイダンスのもと、上高地の植物をスケッチしたり、鳥の声に耳を傾けてみたり、上高地の歴史について思いをはせたりします。大正池では裸足をちょっぴり浅瀬の水につける使命が課され、雪解け水の冷たさに生徒たちは大声で悲鳴を上げます。
 昨年は道すがら、ニホンザルたちとも出会えました。このようにして、生徒は五感全体を通して上高地の自然を感じ取ります。7つの使命を果たした結果、生徒たちは「河童の涙」を探し当て、上高地の自然や自分の周りの自然環境を守ることの大切さに気付かされます。

〈3日目〉ふりかえりの時
 生徒たちは午前中、自分が特に気に入った上高地内の場所に各自で赴きます。そこで旅行全体を振り返りながら、上高地で感じたことや考えたことを作品の制作を通して表現します。
 絵画(油絵・水彩画・スケッチなど)、詩、小説、オブジェ、刺繍、写真など、表現の仕方は様々です。家で完成させた後に学校に提出するのですが、過去には創作ダンスを映像におさめたり、作曲したりした生徒もいました。

碌山美術館

ウォークラリーのチェックポイントにて

ふりかえりの時

ふりかえりの時

作品展示

ページトップへ戻る