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中高の奉仕活動

教員提案型授業「学びの世界を広げる」
若者が変える社会~フェリスのシティズンシップ教育

 通常の授業の枠にはおさまらない現代性のあるテーマについて複数の教員が講義を行う「学びの世界を広げる」プロジェクト。今年度前期に行われた内容を紹介します。

 フェリス女学院大学には、教員提案型の授業があります。通常の授業の枠にはおさまらないような、現代性や学際性のあるテーマについて、複数の教員が学生に伝えたい内容を提案する「学びの世界を広げる」というプロジェクトです。これまでに、現代美術や介護のありかた、現代社会におけるセキュリティの問題など、既存のカリキュラムではできない授業が生まれ、学生たちの関心を集めてきました。このプロジェクトで今年度前期に行われていたのが「若者が変える社会~フェリスのシティズンシップ教育」です。
 「シティズンシップ」とは「社会の構成員として、自らの権利を行使し、能動的で主体的に社会に働きかける市民であること」という意味で、シティズンシップ教育は、多様な価値観を尊重しながら「責任ある主権者」としての意識を育てるもので、最近は日本国内でも注目されています。
 今回なぜこのような授業が行われたのか、担当教員の代表である文学部コミュニケーション学科の小ヶ谷千穂先生にお話を伺いました。
 「戦後70年の節目となった昨年夏は、民主主義と平和について、あらゆる角度から改めて考え直すきっかけになった年だったといえます。さらに法改正で選挙権の年齢が20歳から18歳へと引き下げられたことで、フェリスで学ぶ学生全員が「有権者」になりました。
 学生たちに有権者としての責任が問われるようになった一方で、まだまだ学生たちにとっては、政治との距離が遠いとも感じています。そこで、学生たちが社会の中で行動していくうえでの指針とするための発想や、具体的な方法を学ぶ授業を目指して企画されたのが、今回の授業です。」
 今回は、フェリスの建学の精神でもある「For Others」、さらに「自立した女性を育てる」という教育方針にのっとり、民主主義や平和、人権をキーワードに、毎回違う学部・学科の教員が、それぞれの専門分野の立場から「主体的な市民であること」について、さまざまなヒントを受講生に提供しました。
 「人権論、憲法学、歴史学、思想や社会学、さらに文学や音楽など全学科の先生方に加えて、卒業生をゲストスピーカーとして招き、具体的な活動経験を語ってもらうことで『若者が変える社会』のありかたを考えていけるような内容になりました。具体的には、なぜ市民運動が大切なのか、人権問題としてのカルトとマインドコントロール、慰安婦問題、アジアやアメリカの学生運動などを取り上げました。
 最終試験は2つ以上の授業を選んでレポートを書くというものでしたが、特に学生たちに印象に残ったと感じたのが日本語日本文学科・島村輝先生の『ブラック社会を生き抜く知恵-蟹工船の10の名文句』というテーマで行った授業です。
 「ブラック企業」というのは学生にとっても関心の高い話題だったようで、将来の就職先を考えるのに役立ったという声はもちろん、現在アルバイトをしている先もブラックだったという学生の声もあったそうです。
「『この授業を聞いて、今のアルバイトを辞めようと思う』とか『友達のアルバイト先がブラック企業のようだから辞めることを勧めてみたい』など、自分自身の身近な問題から社会を考えるきっかけになったのではないかと思っています。フェリスの学生たちは潜在能力が高く、反応もとてもよいと感じます。自分自身を守る意味でも、幅広い物の見方を身につけ、自らの力に気づき、社会で活躍できる女性を目指していってほしいと思っています。

ゲストスピーカーによる授業風景

授業の様子

グループで話し合い、意見をまとめます

担当教員 文学部コミュニケーション学科
小ヶ谷千穂 教授

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