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戦争と音楽~闇から光へ~

「戦争と音楽~闇から光へ~」― フェリス生がたどった戦後70年

 サントリーホールのコンサート「レインボウ21」に、本学音楽学部学生の企画「戦争と平和~闇から光へ~」が採用され、大きな反響を呼びました。

 「レインボウ21 サントリーホールデビューコンサート」は、東京・赤坂のサントリーホールが首都圏の音楽大学学生から企画を募集して主催するコンサートシリーズです。毎年多数の応募の中から2、3本の企画が採用される狭き門。本学としては2011年に「ピアノ七変化―内部奏法とプリペアド・ピアノ―」が採用されており、今回は2度目の応募にして2度目の採用という快挙となりました。
◆ こだわりの詰まった企画
 今回の企画を立てたのは、音楽学部音楽芸術学科2年生の堀口利沙さん。応募した昨年秋の時点ではまだ1年生、19歳でした。「戦争と音楽~闇から光へ~」は、第二次世界大戦終結から70年という節目の年に戦争や平和ついて考えたいと思って企画したとのこと。むずかしいテーマだけに具体的な曲目と演奏者の選定には苦労しましたが、教員のアドバイスも受けながら、コンサート前半は戦時の唱歌や戦争で苦しんだ作曲家の音楽、後半では反戦・平和を訴える音楽を演奏するという企画書をまとめ上げました。特に唱歌については、たかの舞俐准教授(音楽芸術学科)の編曲で女声合唱のためのオリジナル版を歌うこととなり、企画全体の大きなポイントとなりました。
◆ オール・フェリスの力で
 「レインボウ21」では、広報・宣伝、舞台進行、チケット管理といった裏方の仕事もすべて学生が行います。今回は、音楽芸術学科の学生4人と堀口さんがマネジメント・チームとして奮闘しました。チラシを制作し、SNSを立ち上げ、朗読する詩を選び、プロジェクション・マッピングを制作し、演奏の学生たちとの調整をし……学生たちにとってはすべてが初めてです。
 制作過程では、学内を挙げて助けていただきました。文学部の島村輝教授には戦前の政府広報誌「写真週報」を映像素材としてご提供いただき、詩の選定から漢字の読み方まで頼りきり。SNSについてのレクチャーは、国際交流学部の春木良且教授に。情報センターの内田奈津子講師は、プロジェクション・マッピング制作を一から指導してくださいました。単科大学にはできない、まさしくフェリスらしい学びでした。
 演奏する学生たちも、家庭で祖父母に戦争の話を聞いたり、本を読んだり、中には長野県上田市の美術館「無言館」まで一人で戦没学生の絵を見に行った学生もおり、それぞれが戦争と音楽について深く考える半年となりました。
◆ いよいよ本番!
 そして迎えた、6月9日の本番。
新聞に大きく取り上げられたこともあって、フェリス関係者だけでなく一般の方も大勢来場され、サントリーホール ブルーローズは満員となりました。学生たちの渾身の演奏は来場者の胸を強く打ち、静まり返った客席にすすり泣きが聞こえる場面も。集まったアンケート用紙の束の分厚さ、書き込まれたコメントの熱さは、予想を超えていました。客席の反応の大きさには、学生たち自身が一番驚いたようです。音楽を通して自分たちの思いが多くの人の心を動かしたという何ものにも代えがたい経験は、一生の宝となることでしょう。


●facebook https://www.facebook.com/rainbowferris15
※コラムを除く写真:©サントリーホール

志半ばで戦病死した尾崎宗吉の作品を演奏

コンサートチラシ

プログラム

戦争にまつわる映像を投影、詩を朗読
(朗読は音楽学部・坂本貴輝非常勤講師)

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