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第9回 大学開設50周年を記念して

フェリス創立から高等教育の模索まで

 1870年、アメリカ改革派教会の宣教師、メアリー・E・キダーが聖書や英語、算数等の授業を開始したのがフェリス女学院の始まりです。「フェリス」の名はその教育を支えた改革派教会伝道局主事のフェリス父子を記念して名付けられました。その後1875年に、山手に校舎・寄宿舎を落成、校名を「フェリス・セミナリー」とし、現在の高等教育につながる出発点となりました。
 1923年の関東大震災ではフェリスも甚大な被害を受け、カイパー校長が校舎の下敷きになり殉職しました。For Othersを象徴する出来事として受け止められています。

フェリス女学院大学の変遷(1870年~1950年)

高等教育の模索
1870年 アメリカ改革派教会の宣教師メアリー・E・キダーが、ローマ字や医療事業等で知られる長老派教会宣教師ヘボン博士の夫人クララが1863年に開いた私塾を引き継いだのがフェリス女学院の始まり。
1875年 山手の外国人居留地(178番地)に校舎・寄宿舎落成。
校名をフェリス・セミナリーとする。
1887年 高等科を設置すると共に、校舎を拡張する。この頃から、「あらゆる知識分野で大学レベルまで引き上げる十分な備えをした方が良い」という気運が高まり始めた。
1889年 大日本帝国憲法発布。4月にフェリス女学院のある横浜に市制が敷かれる。この年、校名を「フエリス和英女学校」と改称。呼称としては以前から、「フエリス和英女学校」、「フエリス女学校」と呼ばれていた。
1899年 私立学校令により認可され、高等科に代えて特別科を設置。
1903年 特別科を文学科、聖書研究科の2科とし、さらに英語師範科を設置。
1908年 特別科を高等科(英文学部・神学部)に改める。
1919年 中等教育を行うプロテスタント系の学校がまとまり、高等教育を行う一つの学校を創立することになり(=東京女子大学)、その動きへの協力と共に、高等科は廃止された。
専門学校・短期大学設置
1923年 関東大震災により校舎が倒壊焼失し、3代目カイパー校長が殉職。
1927年 専門学校入学者検定規程による指定認可。
1929年

新校舎・カイパー記念講堂が竣工する。

1930年

「高等教育を充実させるべきだ」という気運が再び高まり、高等部(英文科・家政科)設置。

1939年

戦時下、アメリカ改革派教会経営の社団法人から日本の財団法人となる。

1941年 戦争の影響により、「横浜山手女学院」へと校名を変更。
1945年 横浜に大規模な空襲があったその年に、広島と長崎に原爆が投下された。日本全体にも大きな被害が及び、敗戦。
1947年 太平洋戦争直後の混乱期にもかかわらず、専門学校(旧制)3年(英文科、家政科、音楽科)を設置。
1950年 専門学校を短期大学(英文科、家政科)に改編。翌年、音楽科開設。
この年に校名を「フェリス女学院」と改称し、校歌も制定した。

4年制大学開設とその背景

 1947年に専門学校(旧制)3年を設置、1950年に短期大学に改編、この時期に校名を「フェリス女学院」と改称し、校歌も制定されました。1956年に横浜市が政令指定都市に移行、その2年後には横浜開港100周年の祭典も催され、横浜市が大きく賑わった時期でもありました。
 女子の大学進学率が急上昇する時代背景の影響も受け、フェリス女学院100周年を機に、4年制大学の設置を求める声が学院内外から大きくなったことを受け、1965年に大学開設。短期大学英文科を発展改組させ、文学部英文学科、国文学科を設置しました。

フェリス女学院大学の変遷(1956年~2015年)

大学開設
1956年 横浜市が政令指定都市に移行。その2年後には、横浜開港100周年の祭典が催される。
1965年 大学開設。短期大学英文科を発展改組させ、文学部英文学科、国文学科を設置。
1970年 創立100周年を迎える。
1988年 短期大学家政科を発展改組し、文学部国際文化学科を開設すると共に、緑園キャンパスを開設(全学1、2年次:緑園キャンパス、3、4年次:山手キャンパス)。
1989年 短期大学音楽科を発展改組し、大学音楽学部(声楽学科、器楽学科、楽理学科)を開設。フェリスホールを竣工。
1990年 短期大学廃止。
1991年 大学院(人文科学研究科修士課程英文学専攻・日本文学専攻)を開設。
1992年 大学院人文科学研究科修士課程地域文化専攻を開設。
1993年 文学部国文学科を日本文学科に名称変更。
1995年 大学院人文科学研究科を博士課程前期・後期に改組、大学院人文科学研究科博士後期課程(英文学専攻・日本文学専攻)を開設し、総合大学として発展させていく。
1997年

文学部国際文化学科を発展改組し、国際交流学部(国際交流学科)を開設(1~4年次:緑園キャンパス)。

1998年

大学院音楽研究科修士課程(声楽専攻・器楽専攻・創作表現専攻)、国際学生交流会館(~2008年3月)を開設。

大学のさらなる発展
2001年 大学院国際交流研究科博士前期課程・後期課程(国際交流専攻)を開設。緑園キャンパス施設を拡充(文学部棟、キダーホール・緑園、図書館竣工)し、文学部も1~4年次緑園キャンパスとなり、山手キャンパスは音楽学部3、4年次、大学院音楽研究科のみとなった。
2002年 中高新校舎・新カイパー記念講堂竣工。
2004年

文学部コミュニケーション学科を開設し、音楽学部楽理学科を音楽芸術学科に、大学院音楽研究科創作表現専攻を音楽芸術専攻に名称変更。

2005年 音楽学部演奏学科(声楽学科・器楽学科の改組)を開設。
2008年 大学院人文科学研究科コミュニケーション学専攻博士前期課程を開設。
2009年

横浜開港150周年とプロテスタント・キリスト教日本伝道150周年。大学院音楽研究科修士課程演奏専攻(声楽専攻・器楽専攻の改組)を開設。

2010年 創立140周年。大学院人文科学研究科コミュニケーション学専攻博士後期課程を開設。
2012年 山手8号館(音楽学部棟)を竣工する。
2014年

文学部英文学科を英語英米文学科に、文学部日本文学科を日本語日本文学科に名称変更。

2015年

大学開設50周年。


50周年を迎え今後はさらなる発展を

 現在フェリス女学院大学は、山手と緑園の2つのキャンパスで3学部(文学部、音楽学部、国際交流学部)、3研究科(人文科学研究科、音楽研究科、国際交流研究科)によって構成されています。
 1880年代から女子に最高レベルの教育を行うという志向を持ち続け、今年大学は開設50周年を迎えました。

秋岡学長より

 キリシタン禁制が解かれる前から「キリスト教の信仰に基づく女子教育」を始めたフェリス女学院は、その最初から先取りの気風に富んでいました。「新しい時代を切り拓く」人材を育てる姿勢は今も変りません。大学開設50周年を迎え、出発点である「キリスト教女子教育」とスクール・モットーFor Othersを、これまで以上に大切にしていきます。
 For Othersという言葉は在学中だれもが耳にするだけでなく、卒業後も長く心に刻まれているという声を多く聞きます。シンプルな言葉ですが、その意味を問えば問うほど奥深く、私たちの生き方そのものに関わってくる言葉です。また、ただモットーとして唱えられるだけでなく、日々の実践と自然に結びついているのも本学の特徴です。ボランティア活動、バリアフリー活動などの諸活動を通じて、また人権・女性・平和・環境・多文化共生などの教育研究を通じて、For Othersの実践をさらに推しすすめます。
 グローバル化が進み、また先行きの見えない時代にあって、今後はリベラル・アーツ教育のさらなる充実もはかります。自ら課題を発見・解決し、多様な文化・価値観をもつ他者と共生でき、新たに遭遇する未知の問題にしなやかに対応するための、21世紀の教養の醸成をはかると同時に、卒業したあとも女性の一生を支援していくフェリスならではの教育を展開していきます。

1954年生まれ。
国際基督教大学卒。
1981年 シカゴ大学大学院人文科学研究科修士課程修了(西洋音楽史専攻)
1993年 フェリス女学院大学音楽学部専任講師
1996年 音楽学部助教授
2000年 音楽学部教授
2004年~2007年 学校法人フェリス女学院評議員
2005年4月~2009年3月 音楽学部音楽芸術学科主任
2009年4月~現在 学校法人フェリス女学院理事
2012年4月~現在 フェリス女学院大学長
秋岡 陽 学長






ジェニー・M・カイパー

1980年代学生ラウンジの風景

1980年代学生ラウンジの風景(山手)

1987年緑園キャンパス造成

1987年緑園キャンパス造成

フェリスホール

フェリスホール(山手)

キダーホール

キダーホール・緑園

カイパー記念講堂

カイパー記念講堂(山手)

ボランティアセンター

ボランティアセンター(緑園)
2003年4月に発足し、学生のボランティア活動をサポートしています。教育理念For Othersの精神のもと、学生が自ら社会に出て問題を発見し、その解決のために、他者と協力しながら行動していく能力を養うことを目指しています。

風車

風車(緑園)
2005年に設置された風車は、エコキャンパスのシンボルです。フェリスの環境への取組は、エコ・リーグ(全国青年環境連盟)主催「エコ大学ランキング」で、私立大学部門第1位(2009年)、総合第2位(2012年)を獲得しました。

チャペル

チャペル(緑園)

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