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フェリスの2025年度に向けた新しい動き(中高)<br />フェリスの学びのかたち(大学)

[中高]
驚くほどのスピードで変化する時代のなかで未来を切り拓くために求められる教育とはどんなものなのか。
新たな教育ニーズに応えるフェリスの挑戦について中学校・高等学校が掲げるビジョンを聞いてみました。

カリキュラムの改訂

阿部 2020年に創立150周年を迎え、学院の新たなミッションステートメントが掲げられました。そこに記された「社会環境の変化に自己変革をもって柔軟に対応」という言葉の通り、中高でも学校改革を推し進めるプロジェクトをスタートしました。
 155周年を迎える時にどんな学校でありたいか、どんな生徒を育てたいか、教員全員で考えようという取り組みです。その中で、学習指導要領を踏まえたカリキュラム改訂の必要性も議題にあがりました。
阿部 まずは教員からカリキュラム改訂案を募集しました。若い先生からもベテランの先生からも、積極的に案が出されたのは有り難いことでした。
 教科の枠を超えた提案は難しかったと思いますが、教員全員でその困難を共有し、一緒に考えていく体制がつくれたことに、まずは価値があったと思います。

3つのステップで考える力を段階的に育む
 具体的な改訂案として、中高6年間を2年ごとに、3つのステップとして組み立てます。そこでひとつの軸となるのが、生徒の主体性を伸ばし、自由な発想や思考法を身につける探究学習です。J1~J2でしっかりと基礎を固めて、J3~S1で本格的に探究学習に取り組んで、知識の応用力を身につけます。学内だけでなく、地域や大学、学外の組織とつながりながら、社会を知り、自ら問いを立てる力を培っていきます。
阿部 高校からは進路を考える時期に入るので、社会に触れることはキャリア教育の観点でも価値があります。そのうえでS2~S3では、見つけた目標や進路に向けて、専門的な学びを深めていくステップです。
 「上級生になったから受験勉強をはじめましょう」ではなく、それまでに、一人ひとりに志を見つけてもらいたいという、より強い想いを込めています。
阿部 その中で、学習ツールとしてICTの活用を進めるほか、教科を横断する学習機会の創出や、学習支援の充実を図っていきます。アカデミックスキルを高める高大連携も、これまで以上に進めていく計画です。
 それら学習環境の充実は、新設した教育企画部を中心に、先生方がアイデアを出し合いながら計画を進めています。

これまで培った風土の上に新たな進化を重ねていく
阿部 一方でこれまで大切にしてきたキリスト教教育の推進、生徒がめざす進路を叶えるための専門的な教育にも力を注いでいきます。たとえば授業時間を50分に変更することで、専門的な授業の理解度も深められるはず。卒業後の進路につながる専門性の伸長も、今回のカリキュラム改訂でめざす大切な軸のひとつです。
 そもそもフェリスの生徒には、自分たちで考えて歩いていこうという資質が備わっていると感じます。
阿部 対話を好むことも、フェリスの個性のひとつです。心理的な安全性が感じられる環境の中で、自身の考えを発言する、相手の意見に耳を傾ける習慣が身についています。
 そんな発言力と傾聴力に、カリキュラム改訂で増える体験的な学びを重ねて、より自由な考え方を得てほしいと期待しています。多様な体験や価値観に触れることで、気づきの機会は増えていくでしょう。
阿部 自分の個性を発揮して良いし、他者の個性も受け入れられる。“For Others”の理念を大切に、これまで培った風土を活かしながら、さらに生徒の可能性が広がる学習環境づくりをめざしていきます。

[大学]
第一線で活躍するアーティストが学生のレベルに合わせて直接指導を行う歴史ある音楽教育の一つである「パフォーミング・アーツ(PA科目)」。
2024年度は150名以上の学生が履修する実技科目です。フェリスの伝統が息づく音楽実技「PA科目」の魅力を紹介します。

クラシックからポップスまで多彩な科目がそろうPA科目

 「パフォーミング・アーツ(PA科目)」とは、音楽学部の専門科目で、他学部の学生も履修できる有料の実技レッスン科目です。2025年度以降の入学者には「全学教養教育科目」として全学生向けに開講されます。例えばピアノだけでもクラシックやジャズ・ポップス。歌は声楽やジャズ・ヴォーカル、ゴスペル、さらにはヴォイス・トレーニングのレッスンを開講します。また、エレキギターやドラム、DTMから、バレエやミュージカルなどの舞台芸術分野まで、科目は多岐にわたり、第一線で活躍するアーティスト、パフォーマーが指導に当たります。

音楽スキルの向上だけが目的ではなく、問題解決能力も磨かれるところが魅力
 PA科目の魅力は、表現者、音楽家を志す学生の飛躍の足がかりになることはもちろん、「『音楽も』学んでみたい」という未経験者が「まずはやってみる」ことで楽しさを知り、潜在能力が呼び起こされるきっかけにもなることです。PA科目は半期で完結するため、幅広い分野に挑戦することもできます。最初は難しさを痛感することもありますが、壁を乗り越える方法を自分で考え、試行錯誤しながら上達していく経験に価値があるのです。
 例えば歌のレッスンでは、高音を出せない要因が1小節前の歌い方にあり、そこを修正すれば問題であった高音を出せることがあります。その際、高音を出せない理由をまずは学生自身が分析し、講師と議論した上で講師からアドバイスを受けます。学生は議論を通して語彙力を鍛えながら会話スキルを向上させ、物怖じせずに自分の考えを発信する力も養われていきます。
 こうしたプロセスは、社会で求められる問題解決能力にもつながるもの。レッスンをとおして自分を見つめ直し、小さな成功体験を重ねながら自己肯定感を高め、人間性を磨く機会になります。「できた」という成長実感が、「もっと学びたい」という意欲を高め、その後の人生でも諦めずに挑戦し続ける姿勢が身についていきます。
 PA科目は音楽スキルの向上だけが目的ではありません。音楽がもたらす効果は癒やしや娯楽といった枠組みを超越し、脳科学の分野でも注目されているほどです。クリエイティビティやプレゼンテーションスキルの向上も期待できるため、大学として全学生を対象に開講することに意義があるのです。

どんな属性の学生でも好きなときに、好きなレッスンを
 履修のタイミングは自由。入学してすぐ履修する学生もいれば、所属学科での専門科目履修を優先し、3・4年次に「やり残したことがある」と履修する学生も少なくありません。レッスンの成果は、半期ごとにフェリスホールでの発表会で披露。スキルや希望に応じて学外での演奏イベントに参加するチャンスもあります。2024年11月にはフルートやチェロ、コントラバス、ヴォーカルのレッスンを受けた学生が横浜のランドマークプラザでステージに立ったほか、PA科目を履修した在学生と卒業生で構成される「フェリス・フラウエンコーア」という女声合唱団の活動も盛んです。
 こうした音楽活動を行う学生がいる一方で「音痴を克服したいので歌を教えてもらいたい」といったモチベーションでも構いませんし、興味があればどんな学生でも大歓迎です。自撮りの「歌ってみた」動画やDTM作品を動画投稿サイトにアップするような学生もいます。ほかにも、幼い頃にピアノを習っていたけれど、部活動や受験勉強で音楽から離れてしまった学生や、中高生時代に吹奏楽部や合唱部などで活動し高校で区切りをつけた学生が、もう一度好きな音楽に関わりたいというケースもあります。また、ピアノ歴の長い学生がPA科目で初めて歌のレッスンを受け、飛躍的に上達したこともありました。歌唱力は、生物学的にも20歳前後の4年間での伸びしろは無限大。学生の段階で自分の専門を決めてしまう必要はありませんし、幅広く挑戦することで隠れた才能が一気に花開くこともあるのです。
 PA科目は「何を学んでどうなりたい?」「学ぶことでどうなれる?」と学生が主体的に考え、自由に科目をセレクトして履修できます。ぜひ「自分が磨きたいスキル」のパズルを組み合わせるように履修計画を立て、行動に移してくれることを願っています。

※フェリス女学院では、中学校をJ、高等学校をSと呼称・記載しています。

ミュージカルやバレエ鑑賞が好きだった学生が、歌や踊りを習った経験はなくてもステージに立つことに憧れて履修するケースもあります。

声楽のレッスンでは、歌詞の理解が異文化理解にもつながるほか、「音の出し方」を学べるため、外国語スキルの向上にも効果があります。

※履修に当たっては、授業料とは別に実技料が必要になります。
※学期により開講しないものもあります。

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