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修養会を通しての成長

人生をアシストする家庭科教育

  フェリスの家庭科教育は、「自分らしく楽しく生きる」ためのアシストをしています。
 入学直後のJ1(注1)は、毎朝の礼拝で使う聖書・讃美歌のカバーを製作します。紺の生地に自分でデザインしてクロスステッチをほどこします。6年間、そして一生涯を支えてくれる聖書・讃美歌を包む大切なカバーになります。次に栄養です。「今、何を、どれだけ食べればよいか」を学習します。中高6年間は体づくりの基礎となる期間です。
 J2では、「どの食品を選ぶか」がテーマです。生鮮食品を選ぶときのポイントを学び、食品添加物についての知識も深めます。実際に家庭でよく食べる加工食品のパッケージを教室に持ってきてもらい、品質表示を板書してみんなで共有します。食品添加物との付き合い方も大切なのです。
 J3では保育をじっくり学びます。命の誕生やその尊さを知ることは、神が与える命がかけがえないことを実感する基盤です。母体の変化も学びます。後期は編み物の実習。棒編みで基本を学んだ後、自由に作品を製作します。今年度は、時節柄、マスクを作る計画を立てているところです。なお、J2・J3では情報教育の一環としてワード、エクセルの基礎学習も含まれています。
 S1は選択科目で例年40人ほどが履修します。浴衣の製作、出汁の取り方、日本料理についての調べ学習などを行います。
 家庭科を学ぶ最終学年であるS2の「家庭基礎」では、ディスカッションを軸に授業が展開されます。結婚、出産、仕事と子育て、児童虐待等をテーマに、5年間学びあった友と話し合いを重ねます。4月の授業開始時に自分の一生を見据えたライフサイクルを書いてもらうのですが、このディスカッションを通して自分の人生設計に変化が生まれたり、他者の存在の大きさにあらためて気づくことも多くあります。
 さて、調理実習はどの学年でも実施しますが、それは、「自分らしく楽しく生きる」ために最も大切なことだからです。食物は心の栄養。美味しい食物があるところに人は集まり、おしゃべりがはずみ、たくさんの笑顔が生まれます。食は生きる条件でありますが、同時に心をどこまでも豊かにしてくれるものです。
 また「片付け」も家庭科の見えないカリキュラムです。For Othersの実践です。調理室や被服室を使った後、次のクラスが気持ちよく使えるよう、思いやりをこめて片付けをする経験が、その後の長い人生にどれだけ役立ち、出会う人たちにどれだけ愛を分けてあげられることになるでしょうか。「自分らしく楽しく生きる」ためには他者への配慮は欠かせないのです。
 家庭科の授業は、中学でも高校でも時代の変化に合わせる必要があります。アシストする側としては世の中の動きにアンテナをはり、授業に取り入れたいと考えています。そして、かけがえのない人生を自分の足で歩くために、引き続きアシストしてまいります。(中高家庭科)

注1:フェリス女学院では、中学校の生徒をJ、高等学校の生徒をSと呼称・記載しています。

J2食品添加物(発色剤)の実験

J2豆腐作り(加工食品の学び)

S1浴衣制作の記念写真

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