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国語科の取り組み

生きていく土台に寄与する教科 国語科としての取り組み

 人は言葉によって考え、言葉によって知を獲得し、言葉によって世界や他者とつながります。言葉は人が生きていくうえでの土台となるのです。その土台を作り、揺るぎないものとするため、中高の国語では「読解」「文法」「表現」の三本の柱に基づく教育を行っています。入学したばかりのJ1の段階から「国語講読」(週2時間)、「口語文法」(週2時間)、「国語作文」(週1時間、クラスを分割した少人数制)と各分野に分かれた専門的な授業において集中的に学び、それ以後も三本の柱は現代文・古文・漢文・古典文法・国語表現等の授業に引き継がれます。基礎から発展へ、段階的に学びを積み重ねていくことで知識や技能を身につけ、他者の言葉を正確に理解する力と、自己の考えを深め豊かに正確に表現する力が育まれます。

 重要な点は、「読解」「文法」「表現」の三つが、それぞれ独立したものでありながらも密接に関わり合い、結びついているということです。例えば、国語科に限らずフェリスの中高では文章を書く機会が非常に多く、常に書くことが課せられる学校だと言えますが、「表現」の技術を学ぶだけでは、読む人の心を揺さぶり掴んで離さない、その人にしか書けない魅力にあふれた文章を書くことはできません。「読解」では、評論・小説・詩歌などを深く読み解くことで、人間の思考の営みや、社会や時代の思想、人間の生などについて知ります。その過程において、自己の前に開かれた新しい世界に視野が広がっていくとともに、自らの内にある価値観、思考の原点を探る精神活動が行われるのです。自己の内を見つめずして自分らしい表現は生まれません。また「文法」では、言葉のきまりを体系的に学習します。感覚的にではなく、ひとつひとつ筋道立てて習得することで育まれる言葉に対する鋭い意識と論理的な捉え方は、正確な読解と表現に生かされます。「文法」の学習を通して育まれた言葉そのものに対するこだわりの姿勢は、言葉の奥にある意味や思考へまで思いを至らせるものとなります。国語科では、以上のように「自らの生き方を見つめ、言葉で表現できる人間」を育成したいという思いの下、「読解」「文法」「表現」の三者を有機的に結びながら日々の授業に取り組んでいます。

  日常の授業以外で伝統的に取り組んできたものとして、各学年で一年間通して行われる研究課題があります。近代の文学者たちによる普遍的名作をたくさ ん読み、読書の楽しみを味わう課題「読書ノート」( J1・J2)、一人の作家の作品世界を多面的に研究し、立体的に文学を読み込む力を養う「作家ノート」(J3・S1)、自ら設定した論題に関する評論を読み、それを参考に自己の考えを論文にまとめる「評論ノート」(S2)。いずれにおいても、生徒たちが主体的に学び、ものごとの真髄を見極める姿勢を身に付けることを大切にしてきました。自己の好奇心や探求心の先に待ってい る新しい発見との出会いや、さらにそれを発展させていく醍醐味は、生徒たちにとってかけがえのない体験となっているようです。

 国語は、学びが人間性の深まりへと発展してゆく過程を手助けする存在であると言えるでしょう。国語科では、単に言葉に対する理解を深め言語力を伸ばすことに留まるのではなく、生徒ひとりひとりが自己の生きる意味を問い続ける土台へ寄与すること、すなわち生徒の全人格に関わる向上を目指してきました。今後ともその志は貫徹させながら、思考力や表現力を重要視する社会の要請に応じて、フェリスの国語教育にさらなる磨きをかけていきたいと考えています。

 

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