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学校生活に根付いたキリスト教

 フェリス女学院は、創立者メアリー・E・キダー以来、キリスト教に基づく女子教育を、神様から託された使命として行ってきました。創立当時の明治初年、日本の女子教育が非常に遅れていたことは言うまでもありませんが、創立145年を迎える現在においても、その使命は決して終わっていません。フェリスはキリスト教信仰を土台として真に自立した豊かな人格の形成を目指した教育を行うことに努めてきました。中高では、その具体的な実践として、毎日の礼拝や修養会をはじめとする宗教行事を行うだけでなく、生徒一人ひとりが神様から愛され、豊かな賜物を与えられた大切な存在であるという前提に立って学習面、生活面での指導を行っています。その様子について、野田美由紀中高宗教主事がレポートします。(2015年6月)

学校生活の要である礼拝

 フェリスの学校生活は、毎朝の礼拝から始まります。基本的に毎日、中高の全校生徒、全教員がカイパー記念講堂に集って約20分間の礼拝を共にします。最初と最後に讃美歌を歌い、通常は礼拝当番のクリスチャン教員が聖書を朗読し、説教(メッセージ)と祈りをします。月に1度は準宣教師である英会話の教師が英語で説教をし、その時には生徒たちも英語で讃美歌を歌います。年に何度かある特別礼拝の際は、外部から牧師などを招いてお話を伺います。礼拝の時間は聖書の説き明かしを聞くと共に自分の生き方を見つめ直す機会ともなり、その積み重ねが生徒たちの内面的な成長をもたらしています。讃美歌など全く知らなかった新入生が上級生や教師の歌声に驚き感動して、やがて一緒に美しいハーモニーで讃美歌を歌えるようになるのもフェリスの礼拝が結ぶ実のひとつです。毎週金曜日には説教のない短い礼拝をささげ、その後で讃美歌練習の時間をもちます。
 礼拝は、カイパー講堂での全校礼拝だけではありません。体育大会の時は体育館で、遠足の時は野外で学年ごとに、その他校外宿泊行事やクラブ合宿においても、礼拝は守られます。場合によっては生徒が礼拝を担当し、聖書を朗読して祈ったり、説教をしたりすることもあります。生徒たちはJ1(※1)の聖書の授業で祈りについて学び、自分の言葉で祈りができるようになります。そして自分のためだけでなく他者のために祈ることの大切さも、礼拝や聖書の授業を通して学んでいきます。

※1 フェリス女学院では、中学校の生徒をJ、 高等学校の生徒をSという呼称で呼んでいます。

キリスト教を通して得る学び

 数ある宗教行事の中でも特筆すべきは、イエス・キリストの誕生を記念し共に祝うクリスマス礼拝です。フェリスのクリスマス礼拝の特徴は、全校生徒による合唱です。マロッテの主の祈り、ハレルヤ・コーラスなどの合唱のため、早くも夏休み明け頃から金曜日の讃美歌練習の時間を使って練習を重ねます。また、クリスマス前には2週間ないし3週間にわたって「ホワイトボックス献金」を生徒・教職員がささげ、クリスマス礼拝の後にキリスト教関係の施設・団体の活動のために送ります。献金は神様に与えられた恵みを感謝してささげるものです。さらに、クリスマスを待ち望む期間であるアドヴェントには、キリスト教系の3団体(YWCA(※2)、聖歌隊、ハンドベル・クワイア)が主催して「アドヴェントの集い」が開かれます。最初から最後まで生徒が進める礼拝で、多くの保護者、家族の方々も参加してクリスマスの喜びを共にします。
 そのほか、J1、J2、S1の時には修養会を行います。特にJ2とS1は学校を離れて寝食を共にしながら聖書に基づく講演を聞き、友人同士で話し合いをします。日常の慌ただしい生活を離れ、静かな環境の中で行う修養会は、「友達」「生きる意味」といった主題をめぐってじっくり友と語り合い、考えを深める貴重な機会となっています。
 在学中にキリスト教に関心をもち、礼拝や宗教行事に積極的に関わろうとする生徒は必ずしも多くはありませんが、日々の礼拝をはじめとして、6年間積み重ねたフェリスでの学びと経験は、多くの場合卒業後にその真価を発揮しています。

※2  Young Women's Christian Associationの略。

生徒のキリスト教活動

YWCA が、収穫感謝祭の手伝いをしている様子

 キリスト教に基づく生徒たちの活動としては、「奉仕」という言葉で表しているものがいくつかあります。
 学校直属の団体であるYWCA、聖歌隊、ハンドベル・クワイアは長い歴史をもっています。YWCAは使用済み切手の回収や施設訪問のほか、学校の宗教行事の際のお手伝いなどをしています。聖歌隊・ハンドベルは礼拝の中で月一度賛美の奉仕をし、創立記念式やクリスマス礼拝などの機会にも奉仕をします。また、伝統的にJ3の時に行われている「奉仕活動」があり、もう40年近くにわたり続けられてきました。そして近年それらに加えられたのが、パイプオルガンによる奏楽奉仕です。

奉仕活動

聖母愛児園での奉仕活動

 約40年前のJ3の生徒たちがフェリスのモットーであるFor Othersを実践したいと希望し、当時の担任が話し合いをした結果始められたと聞いています。以来、学校近隣の聖母愛児園(児童養護施設)を土曜日の午後に訪ねてささやかなお手伝いをさせていただき、その後小さな子どもたちと遊ぶ、という活動が長く続いてきました。以前は学年によって全員参加か有志の活動かを決めていましたが、現在では学校として体制をつくり、学年の全員が年に一度は奉仕活動に参加することになりました。そのためもう1か所、港南区にある芙蓉苑(特別養護老人ホーム)にも奉仕を受け入れていただき、高齢者との交流などをしています。
 日頃小さな子どもや高齢者と触れ合う機会がない生徒も多く、最初は戸惑いがあったり、なかなかうまく話ができなかったり、「奉仕」になっているのかと不安を感じることもあります。しかし、どちらの施設も生徒たちの訪問を快く受け入れてくださり、愛児園の子どもたちやデイサービスを利用する高齢者も生徒たちが来ることを喜んでくださっているようです。大半の生徒にとってたった一回の経験ですが、何かしらFor Othersという生き方につながる学びができるように願っています。

パイプオルガンの練習

 従前から、S2の生徒が礼拝の説教を担当する時には奏楽も生徒が行うことになっていました。しかし2010年に白菊会の寄贈でカイパー講堂にパイプオルガンが入り、奏楽奉仕のために特別な練習が必要になりました。J3からS2(現在はS1以上)の希望者がオルガニストの指導を受けながら練習し、フェリス祭や送別会といった生徒主体の行事の日の礼拝で奏楽の奉仕を行っています。奏楽は礼拝の賛美をリードし支える重要な役割なので、奉仕希望の生徒たちには、技術のみならず礼拝を重んじる姿勢をも備えてもらいたいと期待しています。昼休みと放課後の時間をやりくりしながら、数人の生徒が奉仕を目指して練習をしています。

聖書科授業

ホワイトボックス

ホワイトボックス呼びかけポスター

ホワイトボックス献金の集計結果を知らせる掲示

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