


フェリス女学院大学では、国内外の企業・団体・自治体・地域社会などとの連携を推進・強化しています。
教育・研究やその他の活動においてどのような取り組みが行われているのか、そのねらいはどこにあるのか、事業推進担当副学長の上原良子先生に伺いました。
社会のリアルな課題解決に多様な人々と取り組む経験を
フェリス女学院大学は、社会との結びつきを深め、かつ、社会に貢献する大学を目指し、国内外の企業・団体・自治体・地域などとの連携を推進してきました。さらに、2024年度からは、同年に学長に就任した小檜山ルイ学長のもと、社会連携の取り組みを加速。2025年度にはこれまで以上に多くの連携や共同プロジェクトが実現しました。
社会連携強化の背景には、知識や技能だけでなく、自ら課題を見つけ解決策を生み出す創造性が求められる時代において、学生にプロジェクト型(課題解決型)の学びの機会を提供したいという思いがありました。地域の中小企業と連携した商品開発、人口減少に悩む自治体と連携した町おこしなど、リアルな課題解決に多様な人々と共に取り組む経験を通して、学生には机上だけでは得られない学びを手にし、成長してほしいと願っています。
多彩なプロジェクトが展開。卒業生とのコラボも
本学の社会連携は、教育・研究をはじめさまざまなシーンにおいて進んでいます。その一つに、C L A の「FERRIS+(実践教養探求課程)」の「プロジェクト演習」があります。ここでは、元・自治体勤務、元・商社勤務、元・ゲーム制作会社勤務といった実務経験の豊富な教員らの指導のもと、学内外でワークショップやフィールドワークを行い、まちづくりや商品開発、コンテンツ制作などに取り組みます。なお、2026年度からは、FERRIS+の受講生でなくてもプロジェクト演習を受講できるようになっており、参加する学生の裾野が広がることを期待しています。
また、単発やゼミ単位での連携プログラムも多数あります。従来より環境に関わる連携プログラムはフェリスの特色の一つでもありました。そして小規模大学である本学と相性が良いのが、中小の事業者さん。例えば、地元の和菓子屋さんとコラボしてパッケージデザインを考案する、パン屋さんと協働して「フードロス削減」「地産地消」をキーワードにした商品を開発する、といった取り組みを行いました。
なかでも本学らしいのが、卒業生とのつながりです。静岡・沼津で家業の製茶業を継承した卒業生から持ち込まれた「茶葉の廃棄量を減らす」という課題解決に取り組みました。学生たちは「手軽に飲めるティーバッグにしてはどうか」と提案。さらに古典文学のゼミ(井内健太ゼミ)と協力して『竹取物語』や『源氏物語』をモチーフにしたオリジナルパッケージを作成し、オープンキャンパスなどで販売しました。こうした取り組みが功を奏し、茶葉の廃棄量はワンシーズンで大きく減ったそうです。卒業生にとっても学生にとってもWin-Winのこうした取り組みを、今後はさらに増やしていきたいと考えています。
そしてフェリス生の活動が大きく評価されたのが、2025年度に開催された東京大学公共政策大学院による地域課題解決コンテストでした。このコンテストで本学の学生は総合賞の他、ハーバード大学アッシュセンターイノベーション賞等数多くの賞を受賞することができました。
大学や学生にも連携先にもメリットがある価値共創の場に
社会連携プロジェクトに参加した学生の姿を見てあらためて実感しているのが、一歩踏み出してみることの大切さです。私が担当したフィールドワークに参加したある学生は、一人で遠方まで電車に乗るのも初めてという学生でしたが、そこから積極的に活動するようになり、在学中に単身韓国に留学するまでに。学生はともすると、自宅、大学、アルバイト先の往復になりがちですが、枠から飛び出す経験や物理的な移動体験は、人間の学びや成長においてとても重要です。そして、挑戦や失敗を乗り越え身につけたバイタリティや他者と協働することで身につく協調性は、社会に出てから(そして、その手前の就職活動においても)大いに役立つでしょう。大学の外に飛び出して活動する社会連携のプロジェクトは、まさにその第一歩として最適だと思います。
一方、連携先の方々からも、本学の学生とのコラボによって得るものは大きいという声が届いています。特に多いのが、「Z世代女子」の視点・感覚への言及です。Z世代の消費動向に注目が集まるなか、観光地のお土産品評会、商店街の活性化に向けた協議会などでは、本学の学生のリアルな反応がとても重宝されるのです。どんなお土産なら買いたいか・買いたくないか、どんなお店なら行きたいか・行きたくないか、AとBならどちらがいいか……。意見交換の場で学生が発言をすると、自分たちの何気ない一言に大人たちが「なるほど」「その視点はなかった」と感心してくれる。「あなたの意見が役立った」と感謝してくれる。そうした経験は、自分の意見なんてとるに足りないと思いがちな学生の自信にもつながります。ちなみに、学生たちのコメントはなかなか辛口です。そのリアルな反応こそが、連携先の方々に刺さるのです。
社会連携を新たな強みに、リブランディングを進める
2026年度は、社会連携の取り組みをさらに強化する計画です。幸いなことに、外部から多くのお声がけをいただいており、自治体や諸団体と連携した地域の活性化や公開講座、在日モンゴル人コミュニティとの連携など、新たなプロジェクトも複数立ち上がる予定です。今後は、グローバル教養学部の完成年度(2028年度)を目標に、組織的な体制づくりも含めて、学生により多様で多彩な社会連携の機会を提供していきたいと考えています。同時に、プロジェクトを単発や半期で終わらせず、学生が中長期的に関われるものにしていくことも検討しています。
前号でもお伝えしたように、本学では他大学との大学間連携を進め、「国内留学」(提携先の大学で一定期間学び、そこで取得した単位を認定する制度)の拡充を進めています。今後は、こうした動きも含めた広い意味での「社会連携」を、フェリス女学院大学の特色の一つとして打ち出していきたいと考えています。ご存知のように、女子大は厳しい時代を迎えています。本学も、“For O thers”の精神に基づきつつ、「個を磨く」という新たな軸を立て、大学のリブランディングに取り組んでいます。自由や個性を尊重する本学らしい、枠にはまらないユニークな取り組みを、今後も社会のさまざまなステークホルダーと共に生み出していきたいと考えています。
上原 良子
フェリス女学院大学 事業推進担当副学長
グローバル教養学部国際社会学科 教授
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