■生徒の声から始まった福祉施設での奉仕活動
フェリス女学院中学校・高等学校では、さまざまな奉仕活動を行ってきました。その一つが、学校の近隣の福祉施設を訪問し、奉仕する活動です。「For Others を実践したい」という生徒自身の声をきっかけに、1978年に有志の活動としてスタート。その後、学校として取り組むことになり、J3の学年活動として定着しました。奉仕委員会の生徒を中心に、土曜日の午後に生徒が交代で児童養護施設や特別養護老人ホームを訪れ、利用者さんと交流したり、スタッフのお手伝いをしたり、讃美歌を披露したりしてきました。
しかしながら、コロナ禍を機に訪問が叶わなくなり、活動は2年間ほど休止状態に。その間も、自分たちができることをやろうと、生徒たちは寄付本集めや学校周辺の清掃活動を行っていました。2022年度の途中からは訪問を再開することができましたが、2024年度からは社会的な背景の変化から児童養護施設への訪問が叶わなくなってしまいました。そうしたなか、本校の卒業生の保護者の方が施設長を務めている介護付き有料老人ホームからご依頼を受け、生徒数名が奉仕に伺いました。大変喜んでいただき、2025年度からは従来の特別養護老人ホームでの奉仕に加えて、月1回、定期的に伺う予定となっています。
■J3の学年活動が全校規模へ拡大 生徒主体の活動が受け継がれる
こうして紆余曲折があるなか続いてきた福祉施設での奉仕活動を支えてきたのは、生徒の思いです。特に奉仕委員会の生徒たちは、「それぞれのFor Othersを実践したい」という思いが強く、小さなことでも人の役に立つことであれば嬉々として取り組んでいます。「ありがとう」という感謝の言葉が、何よりも彼女たちの喜びや励みになっています。
これまではJ3が中心になり、代々受け継いできた奉仕委員の活動ですが、2024年度からは新たに「全校奉仕委員会」を立ち上げ、学校全体の取り組みへと広げています。委員会のメンバーは各クラス2名以上としていますが、なかには5〜6名いるクラスも。特にS1が多いのは、J3で奉仕活動を経験し、その価値を理解してくれた証ではないかとうれしく思っています。
本校では、クリスマス前のアドベントの時期に献金をささげる「ホワイトボックス」活動にも取り組んできました。全校奉仕委員会では、この活動をより全校生徒が関心をもって参加できるようにするためのアイディアが出ています。また、全校礼拝で月1回、委員会の生徒がお祈りを捧げる取り組みも始めており、来年度はさらに活動の幅を広げていく予定です。