フェリスの伝統と革新

フェリスのキャリア形成支援

【中高編】
自分を知る 世界を知る 志を育む

進路指導の取り組み
 本校では進路指導を、「For Others」の精神をもとに、生徒が主体的に自分の生き方を探りながら、卒業後に進む方向を選び取る手助けをすることとして位置付けてきました。
 そのことを生徒が具体的に考えやすいように3つの指針を示しています。はじめに自分を知る、次に自分の生きる世界を知る、そして志を育むことです。まずは、自分がどのような人間なのかを見つめます。興味関心や得手不得手、性格などを探るには、教科の学習ばかりでなく、修養会などの学校行事も手がかりとなります。そして、自分自身の生きる世界を知る。自分はどのような社会に過ごしているのか、どのような環境に生きているのか、そして過去から未来へと続くどのような時代にいるのか、まずそこにある事実を知って欲しい。事実を知ることで、これは看過できない、何とかできないかと心動かされることに出会うでしょう。そうして問題に向き合い、悩み、模索しながら、これは自分が引き受ける課題かもしれないという思いが芽生えていく。それがやがて志として成長していくことを期待しています。志は人生をかけて考えるものとも言えます。そう簡単には見いだせるものではないでしょうが、生徒たちにはそのような思いをもって自分の進路を、生き方を考えて欲しいと願っています。

「卒業生に聞く」と模擬講義
 指針を具体的にしていく多様な学びの機会がありますが、進路指導部からのプログラムもあります。「卒業生に聞く」という講演会と模擬講義を紹介します。
 「卒業生に聞く」では、社会に出て経験を積んだ卒業生に、仕事の紹介や苦労話をはじめ、なぜその職業に携わるようになったのか、仕事を通して学んだことなど、経験者でなければ語れない力のこもった体験談を語ってもらいます。時には、在校中の楽しいエピソードを交えながら在校生へエールを送ってもらう貴重な機会で、先輩の語るメッセージに生徒たちは熱心に耳を傾けています。2021年度に行った2回では、一人は公認会計士として活躍している卒業生から人生訓のような話、もう一人はJICAのフィリピン事務所で実直に貢献している卒業生の話でした。
 今年度は、別の「卒業生に聞く」を試みました。これは、卒業後間もない大学生の話を聞く機会です。現在取り組んでいる学びや研究の紹介をはじめ、進路をどのように考えてきたかという体験談を語ってもらいました。文系、理系4名ずつの卒業生の生き生きとした語り掛けは、コロナ禍で気持ちが沈みがちな在校生を温かく励ましました。オンライン開催のおかげで、卒業生の一人はニューヨークから、もう一人はエジンバラから、時差をものともせずに参加してくれました。
 2つの「卒業生に聞く」から感じることは、卒業生の後輩のために何でもしようという温かい真心と、奉仕の気持ちです。今学んでいる生徒たちがやがてこのような先輩に育っていくことを思うと、フェリス生のDNAが引き継がれていくのを感じます。
 模擬講義は、大学や研究所の先生に学問へのいざないとなるように、高校生の希望者を対象に授業を行っていただくものです。主に1、2年生が参加します。これまでは再生医療、化学による電力、民主主義などのテーマがありました。ある模擬講義でたいへん印象に残っていることがあります。それは大学入試間近の11月に行ったときのことです。高校3年生が二人、大教室の一番前に席をとり、真剣に講義に集中していました。質疑応答の際にも一番に挙手して先生とやり取りを交わし、教室の空気を熱くしました。この二人は、背中で下級生に学ぶ姿勢、学問への向き合い方を示してくれたのです。
 様々な学びの機会を、関連する教科や行事に留めることなく、その学びを進路を考える糸口としても活用して、さらに先へと思いを進めることを期待しています。これまでの学びを振り返り、模索しながら納得して歩むことが大切です。進路指導の実りは、彼女たちが大人になってから滲み出るものかもしれません。卒業生それぞれのうちに「For Others」の香りが感じられれば嬉しく思います。(中高 進路指導部)

【大学編】
自ら考え、行動する。
時代を切り拓く力を育み、変化する社会を生き抜く。

学生一人ひとりに合わせた手厚い就職支援
 大学では「新しい時代を切り拓く女性」として社会で活躍する人材を育成するために、「自ら考え、行動する力」を身につけることをキャリア形成支援の軸としています。
 そのひとつが、国内の文系女子大としては初めて導入し、1996年から続いているインターンシップ制度です。現在では、インターンシップは多くの企業で行われており、多くの学生たちが就職活動の一環として参加することが増えています。フェリスでは、授業型で単位も付与される「キャリア実習」を春休みや夏休み期間中に10〜20日間程度実施しています。
 受入れ先は、神奈川県内の企業、一般社団法人、劇場、国際協力NGOなどで、実際の業務を体験することができます。
 学生が個人で参加するインターンシップと大きく異なる点は、学生一人ひとりに寄り添ったサポートを重視していることです。インターンシップ前の事前研修では、ビジネスマナーなどを学び、実習に備えます。 
 実習中、学生は「実習日誌」を用いて日々の業務を振り返ります。それに対して、受入れ先企業、担当職員、担当教員がフィードバックを行います。また、同じ企業・団体でインターンシップ経験がある先輩が「ピアサポーター」として、職場の雰囲気や服装、周辺のランチの情報など、身近な相談相手となって学生を支えます。
 実習後は、個別の面談やグループワークを行い、学びをさらに深めます。実習前、実習中、実習後の一連のフォローにより、学生は自身の強みや弱みを理解すると共に、就職活動でも活きる「書く力」を鍛えていきます。
 こうした手厚いサポートや丁寧なフィードバックが評価され、「2020年度夏季キャリア実習」が「第4回学生が選ぶインターンシップアワード優秀賞」を受賞しました。
 キャリア形成を考える上で、大学では、その言葉が持つ意味の変化にも柔軟に対応しています。近年、社会情勢の激しい変化により、終身雇用が当たり前の時代ではなくなりました。そのため、いわゆる新卒で「いい企業」に入ることだけが成功ではなく、結婚や子育てなどライフスタイルに合わせたキャリアや、自分らしさが活かせるキャリアを考えていくことが大切になってきています。
 そのロールモデルを知るために行っているのが「キャリア研究会」です。多様なキャリアを持つOGたちをゲストとしてお招きし、これまでのキャリアや、将来のビジョンなどを語っていただきます。ここで学生たちは紆余曲折あるキャリア、社会に出てからのキャリア形成などを学んでいます。
 通常、就職支援というと、面接や筆記対策といったテクニカルな支援に重きが置かれがちですが、フェリスでは、それだけではなく、学生への個別支援も重視しています。
 特にコロナ禍では採用を取り巻く環境が厳しくなる中、オンラインでの個別相談や模擬面接を行ったり、SNSを用いて進路未定の4年生に求人情報を発信するなど、新たな方法を用いて学生を支援しています。
 目指しているのはすべての学生に支援が行き届くこと。就職課では、「生涯にわたるキャリア観を醸成し、社会に出ることを前向きにとらえられるような支援を行う」ことを中期計画に掲げ、学生が自身の持つ力や可能性に気づくこと、そしてそれをどう伸ばしていくかについてアドバイスしています。
 これから社会に出るフェリス生には、新しいリーダーシップが求められています。それは重要な役職に就くことだけではなく、コミュニケーション力や判断力、リテラシーを持ち、誰かのために動けるかといった「自ら考え、行動する力」です。フェリス生の伝統ともいえる「芯の強さ」にこうした強みが掛け合うことで、時代を切り拓いていくことができ、社会で活躍できる女性になっていくと考えています。 (大学 就職課)

卒業生に聞く-学生編

卒業生に聞く-社会人編

模擬講義の様子

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