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課題解決型の授業の一環として百人一首の恋歌をテーマに和菓子を開発

課題解決型授業の一環として百人一首の恋歌をテーマに和菓子を開発

リベラル・アーツの拠点として開設した全学教養教育機構
(CLA: Center for the Liberal Arts)。そのプロジェクト演習の中で、百人一首の和歌をモチーフとした最中が誕生しました。
今日は、授業のプロセスや成果を紹介します。

 2017年4月から発足した全学教養教育機構(CLA)は、これまでのフェリスの伝統を受け継ぎ、キリスト教的価値観に関する正確な理解をもとに「自分たちが生きる世界」「ボランティア精神がもつ力」「女性のキャリア」などについて広く考え、理解を深める機会を提供しています。  CLA科目のひとつとして、実社会で求められる課題解決力を実践的に学ぶ課題解決型PBL(Project-Based Learning)授業プロジェクト演習が開講されています。2018年度は4つの科目を開講。その中のひとつである「若者による文化の創造と発信」では「百人一首を題材とした和菓子の商品開発」を行っています。
 今回、その成果として、学生が商品テーマとなる和歌の選定や商品のネーミング、パッケージ企画を行った和菓子「浜恋路(はまこひたび)」が9月に発売されました。
「鎌倉時代の京都で生まれた百人一首をフェリス生の感性と力とで再発見するプロジェクトです。横浜元町の和菓子店『香炉庵』と協定を結び、百人一首の和歌をデザインした最中が生まれました。これはとてもユニークな試みだと思います」とこの講義を担当した谷知子教授。
 浜恋路は「あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともがな」(56番・和泉式部)と、「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ」(77番・崇徳院)の二首をモチーフにしたもの。どちらも「逢いたい」という思いを和歌に託した恋歌。「逢いたい」という和泉式部の歌に対し、「また逢えるよ」という崇徳院の歌を呼応させ、パッケージもふたつを並べると男女が寄り添っているようなデザインに仕上がっています。
 「和歌の選定から、パッケージのデザインや色、商品名など、すべて学生たちがグループワークの中で生み出したものです。ネーミングの検討が最大の難産でしたが、学生の感性や発想には毎回驚かされるものがありました。その結果、和と洋が調和した、非常に質の高い商品が出来上がったと思っています」(谷教授)
 今回の商品開発にあたって携わったのは2年生15人。「意見をまとめる力が身についた」「プレゼンを通じて自分の考えを人に伝える力がより 高まった」「商品開発を通して『For Others』の心が養われた」「お互いを高め合うことができた」など、学生も自信につながったという声が多く上がっているといいます。実際、商品の注目度や評判は上々で、多くの新聞・テレビに取り上げられ、販売開始早々大口の注文も入っているそうです。
 「販売したら終わりではなく、今後はSNSを使った販促活動やイベントの開催も予定しており、横浜土産の定番となるよう育てていきたいと思っています。さらに、学生には、この授業を通してどのように成長したか、自己分析をしてもらい、社会へ出るための準備を行います。来年度以降は別の形での商品開発を行っていく予定ですが、学生がこの授業によって自信をつけ、社会で活躍できる力を身につけていってもらえればと思っています」(谷教授)

完成した「浜恋路(はまこひたび)」

発売時には多くの取材を受けました

店頭に並んだ商品

香炉庵での発売記念イベント

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