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第4回 学生の主体的な学習の場「語学カフェ」レポート

 言語センターでは、お昼休みに外国語で会話を楽しむ「語学カフェ」を行っています。当初は週に1度、英語によるカフェのみの開催でしたが、2年が経過した今では、フランス語、スペイン語、中国語、朝鮮語のカフェも開催されるようになり、ほぼ毎日、にぎやかな会話が言語センターに溢れています。その様子を言語センター副手蘭美奈子氏がレポートします。(2013年12月)

授業とは一味違った語学学習の場

 「英語(語学)が身近に感じられ、緊張せずに話すことができる場を授業以外の場で設けたい。」 英語英米文学科大畑甲太准教授の提案により、2011年に「EnglishCafé」が始まりました。語学カフェが開催される前から、多くの学生が学んだ言語を実際にアウトプットできる機会を探していたこともあり、開催当初からたくさんの学生が参加していました。
 カフェの内容に決まりはありません。こちらからトピックスを投げかけたり、季節にちなんだ各国の伝統的パーティーをしたり、時には学んでいる言語国の歴史を学んだりと、多岐にわたります。最初は緊張した面持ちの学生でも、同じ言語を学ぶ者同士、打ち解けるのに時間はかかりません。会話に苦手意識をもつ学生も、和やかな雰囲気に気持ちがほぐれ、学年・学部を問わずに自然と会話が始まり、会話がさらなる会話を生み、常に笑いの絶えない時間となっています。自分のこと、身近なことでさえ、周りに伝えることは簡単ではありませんが、学生達は先輩後輩の枠を越え、お互いにアドバイスをし合いながら、楽しんでコミュニケーションスキルを磨いています。
 語学カフェは、ただ「言葉を話す場所」であるだけでなく、学生同士が学習アドバイスをしたり、留学に関する意見交換をするなど、ピアサポートの場にもなっています。

学生による企画・運営

 2年目に入り、語学カフェが落ち着き出したころ、フランス語のカフェに参加していた学生から企画書が提出されました。タイトルは「Cross Café –France–」。留学中の学生がスカイプでカフェに参加し、交流を図るというものです。日本にいる学生、留学中の学生双方によい刺激になると、教職員も賛同し、早速実現に向けて準備を開始しました。そして2週間後にはフランス・ソルボンヌと繋がり、美しい街並みが映し出された時には、とても大きな歓声があがりました。現地の様子や学校の話など、フランスの「今」を知ることができるだけでなく、留学中の学生にフェリスの「今」を届けられるこの企画はとても好評で、現在は他のカフェでも取り入れられています。企画に携わる学生たちは、将来的には六言語 (英・仏・独・西・中・朝) 同時にスカイプを利用した「ワールドカフェ」を開催することを目標にかかげており、枠にとらわれない、斬新な学生の発想に今後の期待が膨らみます。開催当初こそ教職員が中心となりすすめていましたが、今では学生が企画・運営に主体的に携わり、カフェを盛り上げています。

留学に向けて/留学生との交流

 語学カフェには、留学から帰国した学生も多く参加しており、これから留学する学生たちへの良きアドバイスの場所にもなっています。このカフェがきっかけで留学を決めた学生も多数です。誰しもが留学に対する期待と不安を抱きますが、その経験者が身近にいることはとても心強く、活発な情報交換が行われています。
 また、フェリスで受け入れている外国人留学生との交流も盛んに行われています。2012年度は中国からの留学生が「中国語サロン」に、韓国からの留学生も「コリアンカフェ」に参加しました。ただ会話をするだけではなく、互いに学ぶ立場として、カフェの時間を大いに活用していました。さらに2013年度はスペインからの留学生が「Café Español」に参加し、「言葉は大切です。言葉を学ぶことで自分の目線で相手を知り、文化を理解することができます。また、自分を伝えることもできます。フェリスの学生はとても勉強熱心で向上心が高いので、学んだ言語を活かして国際的に活躍してほしいです。」とコメントを残してくれました(右部写真参照)。外国人留学生にとって自身の言葉や文化を教え伝えることは、改めて母国を知る良い機会であり、私たちにとっても大変貴重な経験となっています。
 今後は、学生・教職員の繋がりをさらに充実させ、また留学生や留学経験者などと連携をとりながら環境の充実を図っていきたいと考えております。そしてこのカフェが学生にとって多くの学びを得られる場となり、将来国際社会に羽ばたくきっかけになることを切に願っています。

語学カフェの魅力

 語学の楽しみの1つは、やはり伝わる喜びを得られることです。フェリスの語学カフェの最大の魅力は、肩肘張らずに気軽に集まって外国語での会話を楽しめる場所であるということかもしれません。もちろん授業で学んだことの実践の場として、あるいは新しい表現や言い回しを試す機会として、その利用方法・目的はさまざまですが、何より私自身が参加して強く感じるのは、新しい言語での「ことばのやりとり」をみなさんが楽しんでいることです。「生きた」ことばのやりとりを通して、外国語の学習意欲をさらに高めてもらえれば幸いです。

岡島雅興

大畑甲太(おおはた こうた)
大学 文学部英語英米文学科准教授
米国ペンシルバニア州立インディアナ大学大学院英語学部博士課程修了(2004年)。英語教授法・英語学(Composition & TESOL)にて博士号取得(Ph.D.)。国際基督教大学英語教育課程専任講師を経て、2010年より現職。専門は応用言語学、特に第二言語習得と英語教育を中心に研究している。

言語センターとは

 語学の習得には、授業での学修に加え、授業外での学修も重要なポイントとなります。言語センターでは、語学の学習方法や履修に関する手続きなど、語学に関するさまざまな相談に応じています。また、語学検定試験対策の教材や輸入雑誌、外国語映画など約1万点の資料を取り揃え、学生の自主的な語学学習をサポートしています。

参加学生のコメント

Café français
 フランス好きの学生が集ってフランス語で会話をするCafé françaisから今年、新企画Cross Caféが始動しました。パリやリヨンなどで生き生きと暮らす留学生の姿を見た参加者たちは「漠然としていた留学に具体的なイメージが持てた」と目を輝かせていました。現在Cross Caféでは長期留学中の3年生5名との対談を順次実行しています。
国際交流学部 国際交流学科 3年 中津川 あかね

コリアンカフェ
 コリアンカフェでは、週に1回お昼休みの30分を使って、韓国語や韓国文化に関心のある学生同士また留学生や先生方が集い、ゲームやクイズなどを通して対話力を磨いています。今後は新たにネイティブスピーカーが教える「方言」と、授業でも使われる「新聞」を読む回を設け、韓国に対する知識をより深めていこうと考えています。
国際交流学部 国際交流学科 3年 米山 愛莉

スペインからの留学生ラケル・マンテカ・ペレスさん(右)。最初はお互いに言葉が通じなくて大変だったそう。

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